薮椿

薮椿
Shinohara Takayuki
“Camellia”
Drawing ink painting
image: 50.0×29.0cm

 嵯峨の山里の、山の中にあった薮椿。人知れない所で、太陽を浴びよう、見てもらおうと主張しているような花の「けなげさ」を描こうとした絵です。

「赤」は透明水彩。色を入れる初めての試みは2~3年前。本の表紙に使いたいと、絵の依頼があって、「椿山」という直木賞作家の乙川優三郎さんの短編集なんだけど、乙川さんから、「少し色を入れてもらえないか?」と聞いてから・・・。それまで墨だけで描けないものは描いてなかったんだけど、例えば「紅葉」、「花」や「果実」のような静物画、少しの色が画面のポイントになるような、色のイメージが決定的になるものや、少しの色が画面のポイントになるようなものは描いてなかった。

「赤」というのは絶対に墨の濃淡で捉えられない、強烈なイメージを感じさせる色。華やかさがあって、人を寄せつける、誘い込んでいる「誘惑」みたいな色だと思う。また、緑や水色など他の色は、墨色によって感じさせることが出来るけれど赤だけは、どうしてもできない。描いていて「赤が欲しい」と思う。人間は赤と白黒だけで識別できるという説がある。赤は興味の尽きない色だと思う。

印・小林早容子先生(篆刻家、毎日書道展審査会員)

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