水墨画に役立つ楽しいデッサン入門 1-9
水墨画に役立つ楽しいデッサン入門
1. 視点-9
(8の続き)
左の作品は、手前から野菜や売り子のおばさん、ガスボンベにリヤカー、買い物を終えたおばあさんと続く朝市の道端の風景を描いたものです。
「早春図」のところで、見下ろす視点は、地平に広がる個々のものを描いてゆくのに都合がよいと説明しましたが、この絵などはまさしくその例です。
「早春図」のように、もっと視点を上げ二階から見たように描けば、物と物の重なりがなくなり、ひとつひとつの形がもっとはっきりと見えます。でも、あまり特別な視点になると自然な臨場感が失われるので、この絵では、立って見た程度の高さに視点を定めました。
もし、座って視点を下げると、このように物とモノとが重なり合い、置かれたものの一つ一つの面白さに目を止めることが出来なません。仮にこの構図であれば、奥の人物をメインに据えた、奥行きを意識した絵作りが必要だと思います。
「薄日差す」という絵は手前から二人目の人物の表情に魅かれて描き始めた絵なので、この視点となりました。
一番手前の大根のある一角だけは、構図をとった視点より上から少し覗き込むように見て、こちらに迫ってくるような遠近感を出そうとしました。(1-10へ続く)
初出:「季刊・水墨画109 水辺を描く」日貿出版社刊
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