ヴェネチアでの個展レポート
少し時間が経ってしまいましたが、ヴェネチア展のレポートです。
去る5月2日から23日までイタリアのヴェネチアにて「Sumi-e」と題した個展を開催しました。
主催は 合気道、日本伝統文化アカデミーというフランスに本部を置く国際的な組織のヴェネチア支部で、会場の手配、展示から、作家のヴェネチア滞在まで全てを企画提供してくれました。
会場は、サンマルコ広場にある王宮と、嘆きの橋で結ばれたパラッツォ デイ プリジオーニ(囚人の館)という昔の牢獄です。
現在はコンサートや美術の展示空間として使用されていますが、天井高のある重厚な石造りの内部は、当時を忍ぶ事が出来る何とも不思議な空間で、観光客でにぎわう外部とは別のひんやりとした冷たい空気がながれています。
今回は、展示空間と対照させるべく小さく繊細な掛軸に仕立てた作品を20点展示しました。絵の内容は四季に応じた日本の風物と、イタリアの風景を選びました。
オープニングパーティーでは挨拶とデモンストレーションも行い、たくさんの人が興味を持って見て下さいました。
日本では家の中に床の間という絵を展示する空間が有り、季節に応じて絵を変えて楽しむ事。最小限の表現の中に様々の想いを込めよみとること、作家の意志というより筆の動きや水墨により自然に生まれる形や色を大切にする事等、水墨画を通して日本文化の一面を紹介して来ました。
イタリアで日本の事を語っていると、あらためて日本人は季節の機微を様々に解釈する事から生まれた、詩的な脳を持つ民族だなとつくづく思いました。
この日本の良さをもっと意識して、今後の創作に役立てて行きたいと思います。
この展覧会は 8月にフランス南東部の小さな町に巡回します。
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