篠原貴之の水墨表現 作品紹介18 Sumi-e(japanese ink painting) works of Takayuki SHINOHARA 18
日頃, 展覧会以外に作品をご覧頂く機会が少ないので、ブログでも少しずつ紹介してゆきたいと思います。
2017年春に阪急うめだ店で開催された個展出品作からの紹介です。
今回は静物画の中からレモンの絵を1枚。
レモン哀歌 2017年
an elegy of lemon
私は画室に入ると、まずラジオのスイッチを入れる。生活と仕事の境目が曖昧な暮らしの中で、ラジオのスイッチは私の仕事のスイッチでもある。特に何かを聞くでもなく流しているのでだが、ある時 詩の朗読が耳に入り手を止めた。知っているはずの僅か18行の詩だったが、あまりに切なく美しく、暫く放心した。
以下 高村光太郎 レモン哀歌(詩集 「智恵子抄」より)全文
レモン哀歌
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白くあかるい死の床で
わたしの手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉(のど)に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関はそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光るレモンを今日も置かう
機会が有りましたら、是非原画を見に展覧会にも足を運んで下さい。
水墨表現の技法に興味のある方は 篠原貴之の創作プロセスや技法の動画や教室もあります。
それぞれ、以下リンク先をご参照下さい。
youtube of painting tecnicque and process
教室 講習会 情報
shinohara takayuki official hompage
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