足柄山で高大生に水墨画のデモンストレーション&レクチャー
先日小田原から車で30分、金太郎でお馴染みの足柄山の 足柄ふれあいの村で水墨画のデモンストレーション&レクチャーを行いました。ラボ・パーティーの神奈川支局の招きで、今回は私が絵を描いたハムレットの脚本を使って活動する高大生合宿に参加する運びとなりました。
普段は大半がシニアの方を前に話をさせていただくことが多いので、高大生という若い人達に水墨画の話を興味を持ってもらえるか少し不安でした。
百聞は一見にしかず、先ずはお手並みを見てもらおうとデモンストレーションを一発。小田原ということも有り、富士山をモチーフに30分ほどで1枚の絵を描いてみました。
手元をカメラで撮ってプロジェクターに映し出し絵が出来て行く様子を見てもらいました。
一般的に、絵は先ず形を描いて,1箇所ずつ色を作り塗って行くというイメージが有ると思うのですが、そのプロセスとは全く違う水墨画のプロセスに皆 驚いた様子で、なかなか盛り上がりました。
約30分のデモンストレーションで即興的に描いた富士
デモンストレーションの後、その技法のもとにある水墨画の考え方について話をしました。
やり直しのきかない水墨画では、計画に沿って物事を進めることより、今 目の前に起こっていることを受け入れ、ハプニングを楽しみ活かす心が大切であること。白い色は何も描いていない紙の色なので、山の雪の白さは空の色が濃く入ることによってはじめて見えてきます。
水墨画は全ての特性がその物自身というより、他との対比、関係で見えてくるということ。
また、言葉の範疇に収まらない、曖昧なものを大切にしていること。など、水墨画から私自身が学び、大切にしていることを聞いてもらいました。それらはいずれも現代社会の中で、私達に欠落してきている考え方です。だからこそ私は水墨画に魅力を感じているのだと思います。 若い人達はどう受け取ったのか分かりませんが、真剣に聞いてくれているようでした。
後半は学生からの質問に答える形でのフリートーク。
始めは少し緊張気味で、用意をしてきた質問が多いようでしたが、だんだん話が盛り上がると、話の中から新たな疑問や質問が生まれて本当の会話が始まりました。水墨に関すること。海外の留学や生活のこと、ひとつのことをずっとやっていくこと、ハムレットの解釈について、表現することとは等々、白熱してきたところで残念乍ら時間となってしまいました。
普段はうさんくさい実演販売の様に、冗談半分にのらりくらりとやっているのですが、今回は学生の真剣なまなざしを前に、いい加減なことは言えないし、説教をしにきた訳でもないので、出来るだけ嘘の無い、正直な話をしようと心掛けました。
送られてきた感想文
後日、参加者の感想文が私のところに届きました。私が発信したことを受け止めてくれて、自分の言葉で様々な感想を綴ってくれていました。中でもデモンストレーションが印象的だったようで、今まで何の興味もなかった水墨画を見る目が変わったという意見がたくさんありました。短い時間だったけれどやっぱり絵を描いて良かったなぁとあらためて思います。
感想文ではたくさん褒めてもらい、こちらが元気をもらいました。神奈川支部の皆さんこちらこそありがとうございました。
最後にみんなで記念撮影
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