英語絵本『ハムレット』(河合祥一郎監修 篠原貴之画)刊行 原画制作後記
2016年6月にラボ教育センターから英語絵本『ハムレット』(河合祥一郎監修 篠原貴之画)が刊行されました。
表紙
ラボ教育センターは「ことばはこどもの未来を創る。」をスローガンに、おもに英語や日本語で劇や音楽、ダンス等の表現活動を通じて、言葉とコミュニケーションを学んでゆく教育組織です。今年創立50周年を迎え、その記念行事のひとつとして英語絵本『HAMLET』が刊行されました。「これまでにないハムレットを生み出したい。」という制作局の想いから、水墨画で西洋の人や風景を描いてきた私に白羽の矢が立ちました。
扉絵 「剣と十字架の物語り」
監修をされた河合祥一郎先生にハムレットの時代背景や、押さえておくべきポイントのレクチャーを受け、戯曲を読込む中で戯曲ハムレットのイメージを私なりに作り上げてゆきました。
「闇夜」
「King,father」
「劇中劇」
今までにいろいろな日本の小説の装画や挿絵を描かせていただきましたが、西洋の物語ははじめてです。
今まで描いてきた日本の小説には、登場人物の心情を描写するのに、空の様子や草花の姿等、自然の描写が絵の手がかりとなってきたのですが、ハムレットにはいっさいそのような風物の描写は無く、人間の言葉で埋め尽くされています。
ともすると、この言葉によって説明的になり過ぎる絵を、いかに墨を活かした感覚的な印象の絵に仕立てるか、これは今まで経験にない悩みでした。
しかしながら考えようによっては、シェイクスピアの様々な解釈が可能な含蓄のある言葉の海を、1枚の絵で規定してしまうのは理不尽で、煙に撒いたような墨の曖昧な表現というのは、以外と相性が良かったのかもしれません。
「To be,or not to be」
はたして、私の絵がハムレットの鑑賞に役に立つかどうか分かりませんが、絵が有ることでハムレットを身近に感じて、多くの若者がそれぞれの視点でシェイクスピアに触れる機会となれば幸いです。
刊行年2016年の9月から12月まで全国数カ所で、原画展巡回開催予定です。
開催が決まりましたらまたブログ等でご案内致します。
「昔ばなし」
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