温故知新 水墨名画鑑賞4 山元春挙 「瀑布」
JUGEMテーマ:水墨画を学ぶ
この絵は山元春挙の瀑布図ですが、昭和初期の古美術商の競売のカタログの中で見つけた作品なので、真贋の程は分かりません。
内容から見て春挙以上に腕のたつ人が春挙を名乗ることはまずないと思われますし、私にとっては誰が描いたものでも名画は名画なので、紹介したいと思います。
この絵に引きつけられたのは構図の妙です。
滝は人気のあった夏の画題で、様々な滝が描かれてきましたがこの滝はちょっと他のものとは違います。
立ち物の長い掛軸では、画面の上中下と視点を変えて描くことが多いのですが、この絵は上から見下ろす一つの視点で描いています。鋭い角度で覗き込むことで長い画面を視点を変えずに全てを見せているのがとても現代的です。
水(滝)の表現を見て下さい。具体的な形は何処にも出てきません。落下する水、舞い上がる飛沫のようなものを水墨の滲むような動きを使い、感覚的に表現しています。
黒い岩や草の鋭い質感で爽やかな滝の白さ際立たせ、主題の水は何も描かずに表現しています。
説明的な形は草だけで、滝の清涼感をこんなにうまく表現できるのです。とても現代的でおしゃれな作品だと思いませんか。
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