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温故知新 水墨名画鑑賞2 竹内栖鳳「柳に五位鷺」

JUGEMテーマ:水墨画を学ぶ
今回取り上げる絵は、画手本として描かれた栖鳳の小品です。画手本は筆数が少ないだけに、絵の組み立て、用筆、用墨がよく分かり、手本の名の通りとても勉強になります。
栖鳳の画手本は、説明的な細部の表現を出来る限り少なくし、絵として一番大切なものだけをシンプルに描いているので、水墨の良さが本画作品以上に発揮されているようにさえ思えます。
今回選んだ「柳に五位鷺」はまさしくその好例です。
柳に五位鷺
まず五位鷺を見て下さい。五位鷺にこの絵の中の一番濃い墨と一番白い色(紙の白)を持ってきて、絵の主役に仕立てています。
墨だけで描く場合、紙の白と濃墨は切り札です。乱用すると効き目がありませんが、この絵のようにここぞというところで使うと絵がバッチリ決まります。画面に対する主題の大きさと切り札の使用量が実に見事で、この処方が洒落た絵を創り出しています。
一方柳は淡墨で描き、色の変化を抑えて、乾湿軽重、筆運使いによる変化で見せます。幹の荒く重い質感や、枝葉の軽妙なタッチはまさに水墨の妙。潤筆から渇筆への自然な移り変わりを利用して描いた枝葉の運筆は、ジャズのような即興性にあふれ、スピード感もたまりません。
主役の小ささ、それを見せる舞台の、筆墨を活かした自由な表現、好いでしょ。
 

 

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