ギャラリートーク イン 2015Bunkamura 展 その3
2015年1月15日(金)~25日(土) 渋谷 Bunkamura boxギャラリー wall ギャラリーにて開催致しました 篠原貴之 水墨絵画展で、来場者の方と作品についてお話した内容の幾つかを、ギャラリートークと題し、ブログでも紹介してゆきます。
今回は「アカデミア」について。
今回は「アカデミア」について。
ヴェネチアの絵はたくさん描いてきましたが、今回はゴンドラではなく、ヴァポレットという水上バスを初めて登場させました。実際にヴェネチアに行って移動手段として乗るのはこのヴァポレットで、ゴンドラを描いている時は自分が外から描いている感覚ですが、この絵は自分が様々な国からやってきた人達に囲まれヴァポレットに乗っている感覚で描いています。
ヴェネチアは物価が特別に高く、多くの物が旅行者と住民と二重価格になっています。
水上バスの運賃もその一つで、以前はヴェネチアに住民票のあるものだけが安い定期券を使えたのですが、ヴェニスの商人はさすがに商売上手で、高い登録料を払えば住民と同じ定期を買えるようになりました。
普通の旅行者の滞在期間では元が取れない、微妙な値段設定がされています。
取材に長期滞在する私には有り難く、このプリペイド式の定期券を購入し、ヴァポレットにさんざんお世話になりました。
この定期券を使っていると、自分もヴェネチアの住民になったような心持ちで、他の旅行者に対しちょっと優越感のような気分を味わった記憶が、この絵を描かせたように思えます。
何人かの方にご質問頂いたタイトル「アカデミア」は、描かれている場所の、バス停の名前です。
アカデミアと呼ばれる国立の美術学校と、その美術館のある場所という意味で、近景に描かれている構造物もアカデミア橋と呼ばれている大運河にかかる橋です。
残念ながら、名前の由来の美術学校は他の場所に移転してしまいましたが‥。
ヴァポレット(水上バス)の定期券(住民価格のプリペードカード)
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