水墨画入門 5
水墨画入門 5
5)何度塗り重ねても、始めに描いたものが、あとに描いたものの手前に現れる。
水墨画は、基本的には墨色を生かすため生の紙(滲み止めを表面に施していない紙)に描きます。よって 墨は、絵の具のように、紙の上にのっかるのではなく、紙の繊維の中に入って定着します。
一度墨が入った場所には次に描いた墨は入りにくくその周辺に散ってしまい、何度塗り重ねても始めに描いたものがそこに残ります。
特に画仙紙という、最も墨に敏感な紙を使うと、顕著にその特色が現れます。
このことは、手前に見えるものを先に描くということで、塗り重ねてゆく絵と、描き順が逆になります。初めが適当で、だんだん細かいところを丁寧に描いてゆくのではなく、最初に決定的な仕事をするのは、気持ちの上でも違う覚悟が必要です。
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