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水墨画に役立つ楽しいデッサン入門 1-2

水墨画に役立つ楽しいデッサン入門

1. 視点-2

(1の続き)

 私たちが見ているものは、単に写真のような目の前の視覚的情報ではありません。

その情報が自分の記憶や体験と結びついて、自分の関心のある物事を自分の都合の良いように見ています。風景の中に想いを寄せる人が現れたなら、視覚的には点に近いような存在でも、イメージの中では風景の中心となり、周りの景色は、もはや見えていないでしょう。

ひとつの場所から見ていても、イメージの中では対象に近づいたり離れたり、時には上から覗き込んだり見上げたり、見えないところも想像しながら補って見ています。ですから水墨画等、印象を大切にする表現においては、一点透視法や二点透視法といった幾何学的な正確さを求めるデッサンにこだわる必要はないと思います。

 では感動を描くにはどうすればいいのでしょうか。

そのときの気持ちが湧き上がるように表現することが必要になってきます。具体的には目の前の題材を作り直す、組み立て直すと言うことになるでしょうか。

形を間違えないようにと恐れながら風景の言いなりになる受け身のデッサンではなく、一度題材を風景から取り出し、感じたものに相応しい形に仕立て直して画面に移し変える、攻めのデッサン、描き手主体の楽しいデッサンをすることから感動が絵に甦ります。

 ここでは絵作りの手助けとなる、形や構図の知識や考え方を、毎回ひとつのテーマを中心に、具体的なイメージと結びつけて提供していきたいと思います。(1-3へ続く)

初出:「季刊・水墨画109 水辺を描く」日貿出版社刊

JUGEMテーマ:デッサン

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